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高齢者向けローン「リバースモーゲージ」の仕組みを知る
男性79.00歳、女性85.81歳……この数字は2006年の日本人の平均寿命だ。「人生80年」と言われるように、日本女性は22年連続で長寿命世界一をキープ、同じく男性も2位の座につけており、まさに長寿大国・日本の姿がここにある。しかし、見方を変えるとこのことは「退職後(無収入)の老後資金およそ20年分を前もって準備しておかなければならない」ことを同時に意味する。リタイア後の夫婦が必要とする生活費は最低でも月額26万円程度、ゆとりある生活を送ろうとすると同37万円程度が必要とされる。残念ながら、こうした金額を公的年金だけに頼れないのはご存じのとおりだ。となれば、自助努力が欠かせなくなるわけだが、こうした「長生きリスク」に対する防衛策の1つとして、リバースモーゲージの活用は有効な手段となる。そこで今回は、高齢者向けローン「リバースモーゲージ」の仕組みを紹介することにする。■「住宅資産」を「金融資産」へ 住みながら現金化できるのが本制度の魅力
リバースモーゲージとは保有する住宅資産を担保に融資を受け、死亡時に自宅を売却して換金することで、借金を一括返済する融資制度のことをいう。本来、マイホームがあるなら売却・現金化すれば、その時点で一定の老後資金は調達できる。しかし、それでは住むところがなくなってしまい、路頭に迷うことになりかねない。そこで、マイホームを手放さずに現金が手に入る方法として考え出されたのが同制度だ。リバースモーゲージとは言い換えれば、「住宅資産」を「金融資産」へ変換させる手法なのだ。「住めば都」と言われるように、特に高齢者にとって住み慣れた自宅に居続けながら現金を手にできる魅力は何物にも変えがたい
リバースモーゲージと住宅ローンの相違点
| リバースモーゲージ | 住宅ローン | |
| 借入れの目的 | 主に生活資金の補てん | 住宅の取得 |
| 借入金の受け取り方法 | 毎月あるいは数ヶ月ごとの分割受け取り | 資金実行時に一括受け取り |
| 借入金の返済方法 | 契約終了時に一括返済 | 契約期間中、定期的に分割返済 |
| 借り手の負債 | 徐々に増加 | 徐々に減少 |
これまでの歴史を振り返ると、日本では1981年4月に東京・武蔵野市が手がけたのが最初とされる。市内の高齢者および心身に障害がある人を対象に、在宅介護サービスの一環としてスタートした。お金は貸すが、同時に武蔵野市福祉公社の在宅サービスを受けてもらうことを条件とした「福祉金融一体型」融資なのが特徴だ。自治体による公的プランだけあって、福祉的な色合いが強く出ている。
これに対し、後発参入組みの民間金融機関や住宅メーカーなどは、生活資金以外に趣味あるいは別荘の購入資金など、使途が幅広く広げられている点が大きく異なる。比較的、生活にゆとりのある人が余裕資金の調達を目的にしている色合いが強い。その上、住宅メーカーでは融資対象者を自社製品の購入者としているところもあり、販売促進を意図した営業サービス上の延長と受け取られかねない側面も見え隠れする。要は、貸し手のスタンスによって制度内容にはかなりのバラツキがあるのだ。目的に応じた使い分けが必要となるだろう。
■高齢化社会の到来で、リバースモーゲージのニーズは高まるはず
このように、それなりの広がりは見せつつあるリバースモーゲージ。しかし一方で、解決しなければならない課題も多い。特に、以下の3つのリスクを低減させられるかどうかが、今後の普及のカギを握る。
- ・借り手の長生きリスク
- ・金利上昇リスク
- ・担保割れ(資産評価の下落)リスク
最初の「借り手の長生きリスク」とは、予想以上に長生きすることで融資限度額を使い切ってしまうリスクのことを指す。リバースモーゲージはマイホームの担保評価額により融資限度額が決定される仕組みになっている。つまり、担保に取ったマイホームのみを返済原資とした融資制度なのだ。そのため、当然、融資額にも上限が設定されることとなり、融資額が増えれば生存中であっても、融資がストップしてしまうリスクを内包する。
次に、「金利上昇リスク」とは金利が予想以上に上昇し、利息を含めた借入金が膨らむことで融資限度額を使い切ってしまうリスクのことをいう。リバースモーゲージの金利タイプは変動金利が多く採用されている。注意が必要だ。そして最後、3番目は地価の急激な下落などで住宅の評価額が引き下げられた場合、融資限度額が縮減されるリスクのことをいう。いずれも、借り手にリスクが転嫁されることが、リバースモーゲージの普及を阻害する。
そのため、こうした欠点に対して1960年代から活用が始まっている米国では保険を活用することで対応している。借入額が担保価値を超えても、それ以上の返済を要求されないよう保険でカバーする仕組みなのだ。あいにく日本はまだ、ここまで施策が進んでおらず、こうした基盤整備が普及への足がかりとなるだろう。高齢化社会が本格化しているだけに、リバースモーゲージの利用価値は今後、さらに向上することは間違いない。
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