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全容が見えてきた住宅ローンの返済猶予法案 その骨子を整理する
新政権が発足してから1カ月半あまり、与野党が逆転するだけで「これほどまでに世の中の仕組みが大きく変わるのか」と驚かされる動きがいくつも目に付くようになった。住宅関連では「建築基準法の見直し」や「不動産仲介の両手取引の原則禁止」、そして今回、本コラムで取り上げる「個人向け住宅ローンの返済猶予」などが、その例だ。昨今、景気悪化によってローン返済に行き詰まり、最終的に自宅を強制売却(競売)させられる人が急増している。地域経済の景況判断は上方修正され、全国的に回復基調にあるとはいえ、完全失業率は危険水域に達し(文末グラフ参照)、雇用情勢は依然、予断を許さない状況が続いている。こうした中で浮上した住宅ローンの返済猶予 ―― 困窮者に手を差し伸べるのは至って当然のことだろう。「国民の生活が第一」をうたう民主党政権ならではの妙案といえそうだ。10月20日、その最終骨子案が公表された。はたして、どのような制度なのか。各種報道から、その内容を整理してみることにする。
※10月26日から始まる臨時国会を経ての成立(予定)となるため、野党・自民党との攻防によっては内容が変更される可能性があることを、前もってお断りしておく。
■利息も返済猶予の対象となるが、あくまで「努力義務」であり強制力はない
今回、亀井担当相の発意でまとめられたのが「中小企業金融円滑化法案(仮称)」。金融機関に返済猶予や貸し付け条件の変更などに応じる努力を要請するための法律だ。当初は中小・零細企業向け融資を想定していたが、個人向け住宅ローンも対象に含まれることになった。返済に苦しむ人が増えているだけに、“渡りに船”といえるタイミングだ。主なポイントを挙げると、以下のようになる。
・借り手側は「返済猶予」にとどまらず、「返済期間の延長」や「金利の減免」「債務免除」など、柔軟な要請を金融機関にすることができる。
・ただし、要請に応じるかどうかは貸し手側の判断。当該制度は「努力義務」であり、借り手側は返済猶予などが必ず約束されるわけではない。
・返済猶予となるのは「元本」と「利息」の両方
・猶予期間は当事者間で弾力的に運用していく。
・貸し手の金融機関は銀行をはじめ、信用金庫、信用組合、労働金庫、農協、農林中央金庫(農林中金)などが対象。ノンバンクは含まない。
・本法は2011年3月末までの時限立法
亀井金融相が「モラトリアム法案」として提唱した当初は、一律、すべての金融機関に強制的に返済猶予を強いるような印象があった。しかし、経営が苦しいのは各銀行も同じ。“金融機関いじめ”とならないよう、最終判断は貸し手側に任せ、借り手側に加担しすぎないように配慮している。また、返済猶予の対象を元本だけにするか、あるいは利息まで含めるかが注目されたが、最終的には元本と利息の両方が対象となった。
この制度がうまく活用できれば、一定期間、完全に住宅ローン返済から逃れることができるようになる。単なる返済の“先送り”では困るが、この猶予期間中に収入を安定させ、完済に向けた道筋が立てられるようになれば、しめたものだ。政府は臨時国会に提出し、年内の施行を目指す。お心当たりのある方は生活再建の足がかりとして、上手に利用してもらいたいと思う。
完全失業率の推移(2000年1月~2009年7月)(単位:%)

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