住宅ローン おすすめ記事 「手付金トラブル」に巻き込まれないための傾向と対策

「手付金トラブル」に巻き込まれないための傾向と対策

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 「3月期決算企業のうち、10月24日までに2009年4~9月期の経常利益予想を上方修正した会社は522社に達し、下方修正した企業を173社上回った」―― 10月25日付け日経新聞の記事だ。上場企業の業績は緩やかに回復しており、経済に底入れ感が出てきていることが数字の上からも見て取れる。しかし一方、10月16日にマンション分譲の「アートハウジング」が東京地裁へ民事再生法の適用を申請。また、「藤沢建設」が特別精算開始決定を受けるなど、またしてもマンション不況の再燃を連想させるような出来事が散見され始めている。こうしたニュース、景気見通しに関して「まだまだ楽観視してはいけない」ことを訴えかけているようにさえ感じられる。契約後に売り主が倒産してしまったら、支払った手付金はどうなってしまうのか?―― マイホーム購入者の誰もが気になるところだ。そこで、“後の祭り”にならないためにも手付金の基礎知識を再度、確認しておこう。


■「手付金」≠「頭金」 手付金とは「契約の解除を担保するための金員」のこと

 手付金という言葉、不動産取引では頻繁に使われるが、(失礼ながら)一般消費者の方が手付金の性格を正しく理解していることは稀(まれ)だろう。契約の履行に着手後、残代金支払い時に最終的<には売買代金の一部として充当されるが、本来、手付金は頭金ではない。手付金とは「契約の解除を担保するための金員」に他ならないのだ。少し難しい話になるが、手付金には以下の3種類の性格があることを知っておいてもらいたい。


手付金の3種類の性格

1 認証手付 契約の成立を証するための証拠という趣旨で授受される手付金
2 解約手付 契約の相手方が契約の履行に着手するまでの間、買い主側からみた場合、手付放棄(手付金を没収される)で契約解除することができるという趣旨で授受される手付金
3 違約手付 当事者に債務不履行があった場合、違約罰として損害賠償とは別に当然に没収できる趣旨で授受される手付金

 一般には契約書が作成されるため、実務上、証約性の意味は薄い。また、違約金や損害賠償の予定額は別に独立の条項で定めるのが一般的のため、通常の不動産取引における手付金は2番目の「解約手付」と解される。解約手付とは簡単にいえば、買い主側から契約解除を希望する場合に売り主に差し出す(=没収される)お金のことだ。「キャンセル料」というと、イメージしやすいかもしれない。「急な転勤」や「もっといい物件が見つかった」など、解約理由は何でもかまわない。
 想像してほしい。もし、自由に契約解除できないとしたら、買い主は欲しくもないマイホームを買わなければならない羽目になる。手付金なら数百万円の損害で済むが、解約できないと数千万円の無用な買い物を強いられることになる。一体、どちらが損害が少なくて済むか、説明するまでもないだろう。「解約手付」≒「契約解除権」がいかに重要なものか、ご理解いただけたことと思う。それだけ「慎重な契約を心がけなければならない」ということにもつながるだろう。


■買い主が契約解除を希望すると、「自己都合による解除」とみなされ手付金は没収される

 しかし、買い主都合によらない手付金トラブルも現実には多発している。冒頭で述べた、売り主の経営破綻によるトラブルだ。「倒産した売り主のマイホームになど住みたくない」と買い主側から契約解除を申し出た場合、既払いの手付金の取り扱いがどうなるのか、誰もが気になるところだ。そこで、マイホーム工事が「継続される場合」と「中止される場合」に分けて、手付金がどう取り扱われるか以下にまとめてみた。


<マイホームの工事が継続される場合>

契約の継続を希望する 権利義務関係に変動はないので、手付金を心配する必要はない。当初の予定通り建物完成後に引き渡しを受けて売買契約は終了する。
契約の解除を希望する 手付金の保全措置を講じている 「自己都合による契約解除」とみなされ、手付金は戻らない。
手付金の保全措置を講じていない 同 上

<マイホームの工事が中止される場合>

手付金の保全措置 講じている 破綻企業は清算へ(破産法などを申請) 全額返金される。
破綻企業は再建へ(民事再生法などを申請) 認可された再生計画の内容によっては保全措置の適用外となり、全額返金されない可能性もある。
講じていない 自ら返還請求する。ただし、全額返金は期待しにくい。

 注意したいのは、マイホームの工事が継続される場合、自ら買い主が契約解除を希望すると、たとえ手付金の保全措置を講じていても「自己都合による解除」とみなされ、手付金は没収されてしまう点だ。前段で説明した「解約手付」と同様に取り扱われてしまうからだ。手付金の保全措置は、契約の目的たるマイホーム工事が完全に頓挫(とんざ)した場合を前提に制度設計されている。そのため、マイホーム工事が継続すると前提条件から反れてしまい、手付金は没収されることになる。資金計画は大事だが、と同時に売り主の経営安定度にも気を配ることが重要といえるだろう。景気回復を鵜呑みにせず、自分の力で安全な企業(売り主)を見分ける目を養う必要がありそうだ。


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