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知っているようで知らない競売の基礎知識

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 「住宅ローン難民」―― 2010年も、この言葉が新聞紙面を賑わせそうだ。帝国データバンクの集計によると、2009年1年間に倒産した企業(負債総額1000万円以上)は1万3306件で、前年比3年連続の増加となった。急激な景気悪化が各企業を直撃しており、上場企業の倒産件数は最悪だった2008年(33件)こそ下回ったものの、それでも20件と過去3番目の高水準となった。1月20日に内閣府が発表した2010年1月の月例経済報告では、「景気は持ち直してきているが、自立性に乏しく、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある」と、前月(09年12月)の基調判断をそのまま踏襲。株価の回復などプラス材料はあるものの、雇用情勢の一層の悪化やデフレの影響など、景気を下押しするリスクの存在に政府は警鐘を鳴らす。


 雇用環境が不安定ということは、収入も不安定になることを意味する。ということは、住宅ローンの支払いも安定性を失うことになり、返済困窮者予備軍の増大を誘う。マイホームが競売されるといことは、生活の基盤を失うことに等しい。住み込みの派遣労働者が勤務先を解雇されたことで、仕事と同時に住むところを奪われるのと同じ惨状だ。それだけに、こうした最悪の事態を避けるためには競売の仕組みを知っておくことが欠かせない。一定の知識を持ち合わせていれば、柔軟な対応策の立案にも役立つ。


■住宅ローンを借りるのと引き換えに、マイホームには必ず抵当権が設定される


 まずは、抵当権の説明から始めることにしよう。突然だが、読者の皆さんは同僚や友人から「お金を貸してほしい」と言われたら、どう対応するだろうか。貸し出す金額や親密関係によっても異なってくるだろうが、内心は誰しも「貸したくない」というのが本音のはずだ。理由はいたって単純。「きちんと返してくれるかどうか心配」だからだ。


 実はこうした心理、お金を貸すことを本業としている金融機関も変わらない。丹念に信用情報などのローン審査をするのは、その人がどの程度の返済能力を有しているかを事前に確認するためだ。しかし、長期返済となる住宅ローンでは、病気や事故あるいは勤務先の破たんやリストラなど、本人の意思に反して返済計画が狂うことは珍しくない。いくら借りた側は予定通りに返すつもりでいても、返済期間が20~30年ともなれば、昨今のような金融危機に遭遇することは十分に想定される。つまり、どれだけ厳格なローン審査をしたところで、返済確度には限界があるということだ。


 そこで、金融機関は貸したお金が返ってこない場合を想定し、マイホーム(土地建物)に担保を設定する。そして、この担保のことを「抵当権」という。親しい同僚や友人であれば、すでに一定の信頼関係が構築されているため、担保を取らない(無担保)で貸してあげるだろう。しかし、住宅ローンはそうはいかない。商売である以上、必ず抵当権(有担保)を設定する。抵当権とは噛み砕いていえば、「取りっぱくれ」を阻止するための"人質"に等しいわけだ。


■競売とは、抵当権の実行により強制的に自宅を売却させられる法的措置のこと


 では、抵当権と競売にはどのような関係があるのか、続いて見ていくことにしよう。住宅ローン利用者が返済できなくなった際、金融機関は「はい、そうですか。仕方ないですね」と、残りの住宅ローンを免除することはあり得ない。これでは銀行は大損だ。ここで抵当権が登場する。抵当権とは返済が確実になされるための保証として、あらかじめ特定の物を住宅ローン利用者から提供させ、優先してその物の価値から返済を受けられるようにする担保権のこと。返済がストップした場合、最終手段として金融機関はマイホームを強制的に売却し、その売却代価から優先弁済を受けることで住宅ローンの残債を回収する。そして、この「強制的な売却」のことを「競売」という。抵当権という担保と引き換えに、自宅が売却されてしまうのが競売だ。


 なお、金融機関にとって競売は資金回収の最終手段であり、決して金融機関は競売を望んでいるわけではないことを知っておいてほしい。競売(強制売却)は中古市場での通常取引(任意売却)に比べ、安値で売買されるのが一般的。そのため、金融機関にとっても回収額が少なくなり、メリットは必ずしも多くない。不幸にして滞納により自宅を売却せざるを得なくなったとしても、なるべく任意売却を選ぶようにしてほしい。


強制売却と任意売却

強制売却 抵当権の実行により、裁判所を経由して強制的にマイホームを売却する方法
任意売却 金融機関から強制されるのではなく、住宅ローン利用者の意思を尊重しながら一般の中古市場でマイホームを売却する方法


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