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「低金利の時こそ、長期固定の金利タイプを選ぼう」は間違い
年明けから2カ月が過ぎたが、1月19日には日本航空が会社更生法の適用を申請して事実上、国の管理下となり、また、2月8日にはキリンとサントリーが経営統合の破談を発表。翌9日にはトヨタ自動車が世界で43万台のリコール(回収・無償修理)を発表するなど、日本のフラッグシップ企業の後ろ向きな話題が絶えない。そのせいか、一部では最悪期を脱したと言われつつも、「景気は持ち直しているが自律性に乏しく、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある」(内閣府 2月の月例経済報告)との認識を払拭できず、明るい話題といえば、バンクーバーでの冬季オリンピックぐらいしか見当たらない。国会では2010年度予算の成立に向けて大詰めを迎えており、鳩山新政権での新年度入りを目前に控えている。しかし、マニフェスト(政権公約)に掲げた「子ども手当」や「公立高校の実質無償化」など、その実現のための財源捻出に苦労が絶えない。その結果、またしても国の借金に依存せざるを得ない従来型の財政政策を繰り返す。この点、自民党政権時代と何ら変わらない。
前置きが長くなったが、2009年度末には国債・借入金残高が924兆円(見込み)に膨れ上がるのを受けて、国債の信認低下を誘発。これにより長期金利(国債の利回り)が上がり始めるという予測を根拠に、今般、「低金利の時こそ、住宅ローンは長期固定の金利タイプを選ぼう」と指南する声が聞かれるようになった。確かに、金利上昇が確実なのであれば「その通り」といえるだろう。しかし、筆者は金利上昇は確実でないと考えている。そこで、今回はやや専門的な話になるが各国の財政事情を比較し、「低金利の時こそ、住宅ローンは長期固定の金利タイプを選ぼう」という発想は間違いであると考える理由を説明する。
■銀行が国債を大量保有することで、住宅ローン金利は低位安定を維持できている
08年9月の「リーマンショック」、09年11月の「ドバイショック」に次いで、今度は「ギリシャショック」なる言葉が金融・経済市場を駆け巡っている。オリンピック発祥の地である南欧ギリシャでは、巨額の財政赤字により公務員の新規採用を原則中止したり、社会保障費を削減するなどの対策が打ち出されており、こうした不満が街頭デモや暴動・一斉ストライキを引き起こしている。また、対外的には信用不安からギリシャ国債の格付けが立て続けに引き下げられており、株価の下落や金利上昇を招いている。
しかし、実は"財政悪化ぶり"は日本の方がはるかに深刻で、GDP(国内総生産)に占める政府債務比率で見ても1.5倍程度、わが国の方が状態は悪い。にもかかわらず、なぜ、日本はギリシャのように暴動が起きないのか。どうして金利は急騰しないのか?―― ここに、両者の違いがある。
ギリシャ国債は7割近くが海外投資家によって保有されているのに対し、日本国債は9割超が国内投資家によって保有されている。しかも、その国内投資家というのは国内の金融機関のことであり、日本銀行や民間銀行が"お得意様"になっている。実際、日銀は毎月1兆8000億円もの国債を買い支えており、このことが金利上昇を和らげている。民間銀行も同様、先行きの不透明感から企業への貸し出しが伸びない中、国債に余剰資金を振り向けている。リスク資産に手を出しにくいため、安全資産である国債に矛先が向くわけだ。
このように国債が大量発行されても、その受け皿が充実していることで国債価格は暴落を免れている。もちろん、現状(銀行が買い支えること)を追認するわけではなく、財政赤字の悪化は食い止めなければならない。ただ、現実問題、このお陰で住宅ローン金利は低位安定を維持できている。将来的に約束されたことではないが、足元を見る限り、当面は金利上昇の心配はないわけだ。低金利がしばらく続くことを前提に考えれば、無理に金利の高い長期固定タイプを選ぶ必要性は薄らぐ。
「低金利の時こそ、長期固定の金利タイプを選ぼう」は間違い ―― 筆者がそう考える理由がここにある。これから住宅ローンを借りようとしている人は、きちんと金利の見通しを立て、その見通しに即した金利タイプを選択するよう心がけてほしい。
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