住宅ローン おすすめ記事 知らなかったでは済まされない  団体信用生命保険の基礎知識

知らなかったでは済まされない  団体信用生命保険の基礎知識

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 (財)生命保険文化センターが行った生命保険に関する全国調査(2009年度)によると、民間生保あるいはJA、生協、全労災などの生命保険に何かしら加入している世帯の割合(世帯加入率)は86.0%であることが分かった。この数字、2006年度が87.5%、2003年度が89.6%ということで、年々減少傾向にある。長引く景気低迷による生活防衛の結果が、どうやら関係しているようだ。しかし見方を変えれば、かなりの高加入割合であることには変わりなく、「保険好き」な国民性がうかがえる。1世帯当たりの保険料の平均負担額は年間およそ45万円。単純計算、毎月3万8000円弱の保険料を払い続けていることになる。万が一のための"安心料"として、この金額が高いか安いかは判断に迷うところだが、住宅ローンを組む際には、別途、団体信用生命保険(以下「団信」)への加入も検討しなければならない。


 正直、保険好きではあっても、保険に詳しいかどうかは別問題のことも珍しくなく、そのため、勧められるままに団信の契約書にサインしてしまうのが一般的とされる。これはとても危険な行為であり、これから住宅ローンを組もうという人は資金計画と同様に団信についても細心の注意を払うことが必要となる。ここで団信の基礎知識をきちんと復習し、「知らなかった」などとならないようにしておきたい。


■団信保険料を割安にできるのは、団体契約によるスケールメリットのおかげ


 では、さっそく本題に入ることにしよう。そもそも団信とは、住宅ローンの貸し手を「保険契約者」および「保険金受取人」とし、住宅ローンの借り手を「被保険者」とする保険契約に基づく生命保険のことをいう。返済中に被保険者(ローンの名義人)が死亡または所定の高度障害になった場合、その時点のローン残高と同額の保険金が保険会社から金融機関へ支払われる仕組みになっている。これによって、その後のローン返済が免責されることになり、遺族にはマイホームが残るよう制度設計された生命保険が団信というわけだ。


 一家の大黒柱がいなくなったにもかかわらず、住宅ローンを払い続けなければならないのは実に酷な話だ。こうした惨状が現実のものとならないよう、多くの金融機関では団信加入を融資条件の1つ(強制)としている。大黒柱の訃報は貸し手側の銀行にとっても滞納リスクの火種となる。団信加入を強制する金融機関が多いのは、こうした理由が背景にあるからだ。団信の主な特徴を整理すると、以下の通りだ。


<団体信用生命保険の主な特徴>


1. 団体扱いなので、単独で加入する場合に比べて保険料が割安になっている。
2. 融資額と返済期間によってのみ保険料が決まるので、年齢や性別を気にしなくて済む。
3. 融資残高に応じて保険料が決まる仕組みのため、残債が減れば当然、保険料の支払い額も少なくなる。


 団信の最大の特徴は契約者を「団体扱い」(=団体契約)とすることで、単独(個人)で加入するより保険料が割安になる点にある。団体契約とは、複数の人が加入する団体を1つの契約主体とみなし、その団体を保険契約者とする保険契約の1形態のことをいう。団体契約だと「団体割引」(スケールメリット)の特典が受けられるため、その分、保険料を割安にできるのだ。事実、団信の加入者が多いのも、こうした"お値打ち感"によるところが大きい。2番目に挙げた保険料が年齢や性別によって変わらないことと合わせ、使い勝手のよさが契約率を向上させる。大数の法則(※)を維持できる保険集団の存在が団信を下支えする。


 3番目の「残債額に応じて保険料が減少する」とは、たとえば返済開始5年後の残債が2500万円、同10年後の残高が2000万円だったとしよう。仮に保険料率を0.3%とすると、6年目の保険料は2500万円×0.3%=7万5000円(年額)。同じく、11年目だと2000万円×0.3%=6万円(年額)となる。このように住宅ローン残高に応じて保険料は計算される仕組みになっている。そのため、残債がある限り払い続けなければならないわけだが、その負担は年々軽くなっていく。一般的に、民間の生命保険が保険契約者の加齢とともに上がっていくのとは反対に、団信では保険料が下がっていく特徴を持つ。


 ただ、メリットがあればデメリットがあるのも事実だ。


4. ローン契約時に同時に加入申し込みをしなければならず、返済開始後に新規加入することはできない。
5. 完全な「掛け捨てタイプ」のため、貯蓄性はまったくない。
6. 団信加入を融資条件の1つとしている金融機関の場合、健康状態などの理由で加入を否認さてしまうと、住宅ローンそのものが借りられなくなる。


 6番目の「住宅ローンそのものが借りられなくなる」という事実は、かなりの痛手となるだろう。ローンが組めないということは、全額現金が用意できない限り、マイホームを手にできないことに等しい。幸い、任意加入としている金融機関もあるため過剰な心配は無用だが、健康に不安があるということは将来収入の不確実性を高める悪材料ともなる。健康あってのマイホーム購入というわけだ。万が一に備えて上手に団信を活用しつつ、リスクコントロールに尽力してほしいと願うばかりだ。


(用語解説)大数の法則

サイコロの目は、一度振っただけでは何が出るか分からないが、振る回数が多くなればなるほど、1から6の目が出る確率は等しくなる。このように、ある試行を何回も繰り返せば、確率が一定値に近づくという法則を「大数の法則」という。人間の生死においても同じことが成り立ち、この法則に基づき保険の仕組みが作り上げられている。



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