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住宅金融支援機構のフラット35が事業仕分けされる日
「今後、フラット35の使い勝手が悪くなるかもしれない」―― このような疑念を抱かせる出来事が4月23日に起こった。そう、鳩山政権の目玉である事業仕分けの第2弾が開催され、この日に行われた住宅金融支援機構(以下「支援機構」と呼ぶ)の証券化支援業務に対する仕分け作業で、「不要資産の国庫返納」という評価結果が出された。証券化支援業務とは、支援機構が民間金融機関から住宅ローンを買い取り、自らが住宅ローン債権を裏付けとした資産担保証券を発行する(=証券化する)ことで、長期固定金利ローンの円滑な安定供給を可能とするスキームのことだ。要は、全期間固定金利ローンであるフラット35やフラット50を供給支援する仕組みのことで、今回の事業仕分けによって支援機構の当該業務に対して一定の見直しが迫られたことになる。
もちろん、事業仕分け自体には強制力がないので、評価結果がそのまま完全実施されるわけではない。しかし、事業仕分けの影響力は強く、何らかの形で支援機構の業務改善につながることは間違いないだろう。住宅ローンの金利タイプに関し、ただでさえ変動金利の利用者が急増して全期間固定金利の存在感が薄れつつある中、"泣きっ面に蜂"とばかり、支援機構は厳しい指摘を受けたことになる。この仕分け結果は、これから住宅ローンを借りようとする人にとっても無視できないものとなった。そこで、仕分け結果の背景には何があるのか、本コラムでそのポイントを整理しておきたい。
■住宅金融支援機構の証券化支援業務について出された評価結果は「不要資産の国庫返納」
今回、支援機構の証券化支援業務について出された評価結果は「不要資産の国庫返納」というものだった。証券化支援業務には金利の引き下げや信用リスクへの対応のため、2009年度までに7033億円の出資金が投入されているが、フラット35(買取型)は計画額に対して利用実績が4割を下回っている。このことから、発行した担保債券の償還スケジュールと住宅ローン回収による時差(ミスマッチ)で生じるリスクに対して出資金が過剰投入ぎみになっており、事業仕分けでこの過剰分を国庫に返納するよう促された。
支援機構の使命(存在意義)は、低金利かつ長期固定の住宅ローンを安定的に供給できるよう、その支援に徹することにある。そして、こうした政策融資の実現を通して、国民の居住水準を向上させることにある。しかし、仕分け人の中には「フラット業務廃止。民間に任せるべき」といった手厳しい意見があり、さらに「長期固定の重要性はよく分かるが、リスクを取ることこそ市中銀行の本来の仕事。支援機構(フラット35)の役割がそれほど大きいとは思わない。業容を漸次縮小し、できる限り民間の活動に委ねるべき」との踏み込んだ発言もあった。住宅ローンの安定供給は重要だが、その担い手が独立行政法人でなければならない絶対的な理由がないことを物語る。公的な住宅金融が転換期を迎えていることの証左と解することができよう。これからの成り行きが気になるところだ。
実は、同じ日(4月23日)に支援機構の住宅資金貸付業務(賃貸住宅・まちづくり関連)についても仕分け作業が行われており、この仕分けでは「事業の廃止」が言い渡されている。支援機構では高齢者や子育て世帯向け賃貸住宅の建設資金を融資しているが、この施策が本来の政策目的とは必ずしも合致しておらず、地方公共団体や他省庁との連携も含め、その仕組みを見直すべきではないか ―― といった意見が大勢を占めた。
考えてみれば、同じ独立行政法人である都市再生機構も賃貸住宅事業を行っている。翌日の24日には同機構も事業仕分けされており、「高齢者・低所得者向け住宅の供給は自治体または国に移行」するよう指摘されている。弱者に対する住宅セーフティネットは大事だが、すべてを独立行政法人が丸抱えする必要はないということなのだろう。「国民の生活が第一」「コンクリートから人へ」と内需拡大戦略を立て、ムダの削減に奔走する民主党政権。どうやら政権交代によりフラット35までが何らかの影響を受けることになりそうだ。はたして、支援機構がこの仕分け結果をどのように受け止めるか、その反応ぶりが気になるところだ。
行政刷新会議による事業仕分けの結果
| 対象法人 | 対象事業 | 仕分け結果 |
|---|---|---|
| 住宅金融支援機構 | 住宅資金貸付業務 (賃貸住宅・まちづくり関連) |
事業の廃止 |
| 住宅融資保険業務 | 事業の廃止 | |
| 証券化支援業務 | 不要資産の国庫返納 | |
| 都市再生機構 | 都市再生事業 | 当該法人が実施し、事業規模は縮減 |
| 賃貸住宅事業 | 高齢者・低所得者向け住宅の供給は自治体または国に移行。 市場家賃部分は民間に移行する方向で調整 |
※市場家賃とは、近傍同種の住宅の賃料を基準として家賃を決定する仕組みのこと。
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